空をなくしたその先に
「ディオ?……殿下?」


あまりのことにダナの口がぽかんと開いた。

王族自ら戦闘機に乗り込もうというのか。

「よろしく頼むよ。どうしても生きて帰らなければならないんだから」

出立前に最後の挨拶を交わしたときの母親の顔を思い出しながら、ディオは言った。

喪の期間があけるまではと、黒い服を身にまとったままの彼女は、何も言わずにただディオを抱きしめて送り出した。

留学の為に旅立つ彼を見送った時と同様に。

いずれにしても、今のディオの体力では戦闘機に乗り込むことなど自殺行為だ。

それにダナが新しい機体に慣れる必要もある。

クーフ島ごと一度マグフィレット領内の海域まで戻り、目立たない場所で機体の最終調整を行うことが決められた。

前線には、島内に戦闘機をかくして戻ってくることになる。

ビクトールはフォルーシャ号に残ることになった。

アーティカにはもう一つ飛行島があるから、クーフが一度後方に退いても問題ない。
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