空をなくしたその先に
「あとは僕が後ろに乗って、どこまでいけるか、だね」


ディオの方も、ただ待っているだけではない。

持ち込んだ実験機を使って、何度も計算を繰り返している。

その時の気象条件を瞬時に判断して、

エネルギー注入量を微妙に調整しなければ、逆流して機体が危険にさらされることになる。

激しく揺さぶられる戦闘機の後部座席で、ディオが手元を狂わせでもすれば二人ともおしまいだ。


「午後……試してみる?」


手にしたゴーグルをふりまわしながら、ダナはディオに提案した。


「そうだね。

明日か明後日には前線に戻りたいし」

「ディオ、誰かいる」


ダナの指した先にいたのは、見慣れた二人。

フレディが手をふっている。

全身を黒に包んだイレーヌは、さすがにロングドレスではなかったが、

いたるところに宝石をきらめかせているのは変わらなかった。

日焼けをしないにように巨大なパラソルの影に顔を隠している。
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