空をなくしたその先に
回線を切って、サラは艦長席に両手をついた。

ビクトールの言葉は嬉しくないわけではなかった。

それでも。

彼の選択した道は、彼女の道とは相反するものだから戻るわけにはいかない。

艦橋内をぐるりと見回す。

アーティカから連れてきた十名が、サラを元気づけるように笑顔を向けたり頷いて見せたりとそれぞれの意思を表明してきた。


「ライアン……命令を」

「大丈夫か?」

「大丈夫よ。最初から覚悟はしてきたわ。私も、部下たちもね」

そうだ。
覚悟してきた。
アーティカを敵に回しても、絶対に阻止しなければならないことがある。


「んじゃ、行こうか」


ライアンはふてぶてしい笑みをうかべて、最初の命令をくだした。


「全速前進。フォルーシャ号をねらえ!」


ライアンの部隊が全速で前進するのを合図にしたかのように、双方の船団から、戦闘機が飛び立った。
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