空をなくしたその先に
責任は取るつもりだ。

だから戻ってきた。

サラが残るであろうことを予測して。

「お嬢さんじゃない。ダナ。ダナ・トレーズよ」

「ダナ、か」


サラとの寝物語に何度も名前が出てきたような気がする。

彼女が……そうか。

口調を優しいものにかえて、ライアンは二人をうながした。

「じゃあ、ダナ。早く行くんだ。
この艦はそろそろ危ないぞ。

アリビデイルの捕虜になりたいってなら、俺の救命艇に乗せてやってもいいが、そんなのごめんだろ?」

「……名前を教えて、あなたの」


ふん、とライアンは鼻で笑う。

「ライアン・ワイオーン。ライアン・ヘクター・ワイオーンだ。名前を聞いてどうする?」


ダナの視界が、あふれ出た涙に支配されそうになった。

似ているだけじゃない。

彼の名前を持った人。

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