空をなくしたその先に
救命艇からおろしたロープに二人の体を固定しながらライアンは思う。

サラが目覚めて、望むのなら。アーティカへ帰してやるのもいいのかもしれない。

その時には、きっと胸が痛むだろうが。

ふられるのには慣れているし、
胸が痛むのもたいして長い時間でないのも、経験からわかっている。


「行こう。僕たちも」


ディオはダナをうながした。

艦橋の方から爆発音が響いてくる。

銃を握ったままの、ダナの手がだらりと落ちた。

肘をつかむようにして、ディオは艦底を目指す。

途中ダナが道を変え、最短ルートで救命艇にたどり着いた。

元はアーティカの艦だ。

どこを通ればいいのかは、ダナ自身よく知っている。

一つだけ残された救命艇がリディアスベイルを離れるのと同時に、最後の爆発が艦を海へと沈めていった。
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