空をなくしたその先に
「ダナを正式に養女にしたんだって?」


ビクトールは薄く笑って、目を細めた。


「今までと何も変わりませんが……自分はあいつにアーティカを継がせようとも思っていません。

好きなように生きればいい。

正式に手続きをしたのは、ただ自分の気持ちの問題なのですよ」


二人の目の前をフレディに導かれて、ダナがくるくると回りながら通り過ぎていく。


「娘というのも悪くはないですな」


フォルーシャ号の食堂で、一人飲んでいた時とはまるで違う表情だった。

そのまま二人そろって壁の花になっていると、頬を紅潮させたダナがフレディに手をひかれて戻ってきた。

入れ違うようにビクトールはそばを通りかかった女性に声をかけて、フロアへと出ていく。


「飲み物取ってくる」


とフレディは、部屋の向こう側へと歩いていく。

ダナが手でぱたぱたと顔を仰いだ。

頬は紅潮したままで暑そうだ。

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