空をなくしたその先に
「外に行く?」

「……行く」


すぐそばのテラスへと窓続く窓を開けて、二人はテラスへと出た。


「楽しかった?」

「……そうね。楽しかった。でも一度体験すれば十分ね」


二人はならんで手すりにもたれかかる。

冬の空気も冷たく感じられなかった。


「ビクトール様ってば、招待状きたとたん大変だったんだから。

行儀作法の家庭教師にダンス教師、宝石商は呼びつけるわ、それから服屋に美容師に……」


げんなりした様子で、ダナは手すりに顔をうめた。

その様子からすれば、相当特訓させられたのだろう。

先ほどまでの身のこなしを見ていればそれはディオにもわかった。

出会った頃とはまるで違う。


「こっちについたらついたで女の子に囲まれるし、こんなの一度で十分よ」

「ビクトールが娘はいいもんだって言ってたよ」

「それならいいけど」


ダナは顔をあげた。

雪、とつぶやく。

今まさに最初のひとひらが落ちてきたところだった。

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