空をなくしたその先に
「明日の朝にはつもっているかな?」

「つもるといいわね。

雪におおわれた景色ってそれだけで違って見えるから」


ぎこちない沈黙が二人の間を支配する。

まるでお互い相手の出方を待っているような。


「ダナ」


先に沈黙に耐えきれなくなったのは、ディオの方だった。

名前を呼ぶのと同時に、片方の手で腰を引き寄せる。

反射的に彼を押し退けようとしたダナの手が、一瞬迷って下に落ちた。

ディオは、ダナの顎をもう片方の手で持ち上げた。

せわしなく瞬きを繰り返していた碧玉色の瞳が、長い睫の影に姿を隠す。

もう一度名前を呼んで、ディオはゆっくりと顔を近づけた。

二人の息が混ざりあうところまで接近したその時。


「はい、そこまで」


無粋な声に、ダナは悲鳴をあげてとびのいた……はずが慣れない長い裾に足をとられてよろめいた。

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