空をなくしたその先に
「後ろに丸腰の人間乗せて戦闘空域を飛べる人間が何人いる?
『雷撃』と『閃光』の血をひく、おまえにしかできない芸当だろ?」


それに、とビクトールは軽い口調でつけたした。


「おまえを信頼しているのは、ヘクターが選んだ女だからってわけじゃないぞ。

ここ二年、外部の人間と接していないのはおまえだけだという理由もある」

「外部の……人間……?」

「そうだ。裏切り者がいるってわけさ。

メレディアーナ号が襲撃されたことといい、
クーフの現在地が知れたことといい、
裏切り者がいるって考えるのが自然だろ?」

「……わかりました」


最終的に唇をかみしめて、ダナは言った。


「ディオを連れてティレントを目指します。
王都でお会いしましょう」


蚊帳の外だったディオは、
ようやくそこで口を挟むことを許された。
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