空をなくしたその先に
首にかけていた鎖と、そこに通された指輪にフレディは一瞬ふれ、

それを肩からシーツの上へと払い落とす。


「いやだいやだいやだいやだ!見ないで!見ないで!見な……」


身をよじっても、脚をばたばたさせてみても、

彼をふり落とせるはずもなく、三つ目のボタンがためらうことなく外される。


「何だよ、これ……」


強引に下着を引きずりおろそうとしていたフレディの手が止まった。


「……あたしの罪の証、よ」

「……」


無言のまま、彼は下着を元の位置に戻し、ボタンをはめていく。

外したときとは別人のような優しい手つきで。


「てっきり全身の傷跡をきれいにしたんだと思っていたよ」

「外から見えるところだけよ。

見る人がぎょっとするから治しておけって、ビクトール様が。

身体の方もやっておけって言われたのだけど……」
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