空をなくしたその先に
「なんだって……」

「記録によれば、確かにサイリーン・シルヴァもその頃ルイーナにいたことになっているけど、

彼女の滞在先はシルヴァ家の別荘。

父がいた別荘とは別の建物だ。
フェイモス叔父上は国元で政務に忙殺されていて、

ルイーナまで行っている時間的余裕はなかったはずだから、君の父親候補ではない」


最後にディオは、残忍な宣告をつきつけた。


「それに引きかえフィディアスは、しょっちゅうルイーナを訪れていた。

父の別荘には滞在できなかったから、彼が滞在していたのはシルヴァ家の別荘だ。

実際にサイリーンと通じていたんだよ。

そして反乱を起こそうとしたんだ。

父はもう長くないと信じていた、一部貴族の口車に乗せられてね。

彼女が死刑にならなかったのは、子どもを身ごもっていたからで、その子のために終身刑に減刑されたんだけど……」

彼女が出産と同時に亡くなったことまでは、ディオは口にしなかった。
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