空をなくしたその先に
あの夜、フェイモスに見せられた書類に記されていたのはこのことだった。

ディオはそれを胸に押し込めていた。

誰にも秘密を漏らすなと叔父から厳重に念を押されていたからだ。

自分の信じていた事実と違う現実に、フレディは言葉を失う。
フィディアスの名を知らないわけではなかった。

どういうわけか彼の名は、宮中では忌むべきものとされていて、口にすることさえはばかられていたが。

反乱を起こそうとした末のことなら、納得もできる。

王位を剥奪された罪人の子。

だからか、と彼は口の中でつぶやいた。

どこか哀れなものを見るような視線で、王が自分を見ていたのは。

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