空をなくしたその先に
正式に親子と名乗れないゆえだと思っていた。

身分が低い女から生まれたために、

王族としての扱いを受けることができない我が子への、

せめてもの心情がそこに現れているのだと信じていた。

渇望していた。

ディオの持つ全てを。

父と信じていた男のそばでの生活を。

堂々と王位継承者としてふるまうことを。

どれだけ放蕩生活を送ってみても、埋め合わせることのできなかった空虚。

その空虚さえもが実在しなかったのだと思い知らされて、フレディの中で何かが崩れ落ちた。
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