空をなくしたその先に
ダナを引きはがして、
ビクトールはディオの頭を軽くたたく。


「うちのじゃじゃ馬を頼むよ。
ものすごい世間知らずなんだ。そう育てちまった俺たちにも責任はあるんだがな」

「できるかぎりの努力はしますよ」


あくまでも、軽い口調を装って、ディオも返す。


「行け!」


ビクトールの声と同時に、
二人とも家を飛び出した。

フォルーシャ号にかけこむと、すでにルッツが待ちかまえていた。


「遅いよー」


この状況下でも、このひょろりとした青年ののんびりとした口調は変わらない。


「はい、飛行服、飛行帽、ゴーグル。んで、道中のお弁当」
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