空をなくしたその先に
37.空をなくしたその先に
研究室の中に、コーヒーの香りが漂う。

ディオはカップに注いだそれを口に運ぶ。

研究の合間の、休息の一時。


「博士!シルヴァースト博士!」


ばたばたと研究所に駆け込んできたのは、ディオの研究室にいる学生だった。


「先生のこと、新聞に載ってますよ!」


彼の差し出した新聞を、ディオはゆっくりと開いた。

日に焼けた藁の色の前髪をかきあげる。

後ろの方は一つにまとめて束ねてあるのだが、前髪は伸びすぎて目に入りかけている。

そろそろ切りに行かねばならないのだが、時期を逃してしまっていた。

新聞を持ってきた学生が示すページに大きく掲載されている彼と、彼の学生たちが開発した新技術。

実用化されれば、海水から真水を作り出すそれは、飛行島で暮らす人間たちにとっては非常に重要なものになるはずだ。

動力源には、フォースダイトを使用している。

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