空をなくしたその先に
二人分の昼食を借りたトレイに乗せて、ディオは食堂を出た。

先ほど降りてきた階段を逆に上っていき、一度甲板に出る。

小さな窓しかない厨房にいたから気づかなかったが、
今日はいい天気だった。

風をはらんだ帆と並んで、洗濯物がぱたぱたとしているのが妙にのどかだった。

思えば、メレディアーナ号に乗船したのは昨日の今頃ではなかっただろうか。

髪を乱す風に顔をしかめながら、船体後部に回る。

格納庫の扉を肘で押さえて中を覗くと、ダナは機体の後部にいた。

梯子を持ち出して、修理しなければいけない箇所に目線を合わせている。


「ダナ、お昼ご飯」


声をかけると、勢いよく梯子から飛び降りた。


「さすがにお腹すいた」


けらけらと笑って、工具を床の上に置く。


「厨房にいたんですって?
大変だったでしょ」


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