美女の危険な香り
 すると千奈美も、


「ご馳走様でした」


 と言って一礼し、店出入り口へと向かう。


 俺が、


「ステーキ美味かっただろ?」


 と店を出てすぐさま訊くと、彼女が、


「あんまり値段が高い料理だったから、味を覚えてないわ」


 と返した。


 確かにそうだろう。


 俺はこの豪勢な料理を昼になるといつも食べている。


 それは今井商事という大財閥から守られていて、しっかり稼いでいるからこそ出来ることなのだ。


 だが、千奈美は単なる一OLである。
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