美女の危険な香り
 これは仕方ない。


 いくら高級を取るサラリーマンでも、疲れたときはゆっくり休むのが一番なのだ。


 案外千奈美も正月はインドアらしく、初詣に行こうとは言ってこない。


 俺たちはホテル二階にあるダイニングで行き着くと、彼女が、


「おせち料理とかいいわね」


 と言った。


 千奈美も正月休みぐらいは美味しいものを食べたいらしい。


 俺が窓際のテーブルに着き早々、やってきたウエイターに、


「おせち料理を二人分頼むよ」


 と言って、持ってこられたお冷のグラスに口に付けた。


「料理はフルコースでよろしいですか?」


「ああ。一応、このメニューに載ってるおせち料理のCコースを二人分」


「かしこまりました。お飲み物は何にいたしましょう?」
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