美女の危険な香り
 加えて旧弊とも言うべきものを取り除くつもりでいた。


 俺が一番頭を悩ます人物がいる。


 大磯龍造その人だった。


 龍造を何らかの形で追い出すか、引退させることで、俺は社を変えようと思っている。


 変革期に膿(うみ)を出し切ることはどんな時代でも必要不可欠なのだ。


 俺は二つの社を合併・買収した際、龍造に対する処分も考えていた。


 それがたとえ厳しいものであろうとも。


 テーブル上に置いていたビール缶を見ながら、俺は千奈美に、


「少し眠るから」


 と言って、ベッドに入る。


 脇に彼女が入り込んできた。


 俺たちは体をくっつけ合って、しばらくの間、転寝(うたたね)する。


 三箇日が終わって、正月はあっという間に過ぎ去ってしまい、また仕事だった。
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