美女の危険な香り
 それから先の俺の現世での記憶は一切ない。


 ただ素直に思えるのが、来世でも再来世でも千奈美と出会って、一緒にいたいということだった。


 俺の抱く想いはきっと千奈美に伝わったはずだ。


 それがたとえ、死の直前の人間の気持ちだったにしても……。


 桂浜には絶えず波が押し寄せている。


 海の水は地球が終わるまで止(とど)まることを知らないのだし、枯れ果ててしまうこともない。


 ザーザーという音を立てて、半ば無情なまでに……。


                     (了)
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