月と薬指

あの一瞬から、

僕の目は彼女を追うようになってしまった。



日を追うごとに、

僕の中の彼女が膨らんで、

気づいた時には好きになってしまっていたんだ。



あの一瞬、



彼女は、何を思ったんだろう?

彼女は、どうしてこんな田舎町にいるんだろう?

彼女は、何を拒んでいるんだろう?



風呂場の湿度は飽和状態だ。

これ以上は、もう考えられない。


時刻は午前1時。

本日の睡眠時間も少ない。

5時間後には出勤準備だ。


・・・のんびり風呂なんかに浸かっている場合じゃ
ないぞっ!!



大丈夫かっ!!

オレッ!!

死ぬなぁぁぁぁぁーっ!!


< 11 / 53 >

この作品をシェア

pagetop