月と薬指

そして、

その時から、

オレの人生も決まってしまった。


兄貴みたいに、

都会で就職して、

いつか帰るなんて猶予は、

オレには貰えなかった。



「大切な一人息子」



何とか説得をして、

大学だけは卒業させてもらえた。


その代わり、

卒業したオレを待っていたのは、


約束された、退屈な日常。

同じことの繰り返し。


明るい未来なんて、

何一つ無かったんだ。



貴女に会うまでは。



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