彼氏キケン地帯



あたしの名前で登録された知らないアドレス。

あたしの知らない間に行われていたメールのやりとり。


クッキーなんて作ってないし、こんなメールを送った覚えもない。


なにより、あたしの携帯の送信ボックスにはそんなメールの履歴はない。


ということは、誰かが尚の知らないうちにクッキーを入れて、勝手に携帯をいじって自分のアドレスを登録したってこと?!


な、なんて女だ…っ!!



わなわなと怒りで手が震えているのがわかる。

顔の筋肉が言うことを聞かず、口元が引き連る。

尚はただ黙ってあたしを見ている。

どんな顔をしているのかなんてわからないのだけれど、あたしの神経は携帯画面に向いていて、尚に何も言うことができないでいた。



次のメールを見る。

画面には可愛らしいデコメ。



『あたしのどこが好きなの?』


この女、ちゃっかり聞いてるし…っ!


と思いながらも、あたしもなんでか気になった。

尚はあたしのどこが好きで付き合ってくれているのかな。


尚が好きだというところは、あたしの最高長所にしたいし、もっと好きになってもらいたい。



尚は一体なんて…



「はい。そこまで」


「ちょ…っ!」



送信ボックスを開く前に、尚にひょいと携帯を奪われた。



「……」


見たかったという気持ちと、あのメールの内容で生まれた羞恥心を訴えるかのように尚を見た。



「違うよ…?」


「…」


「あたしじゃないよ…っ」


「わかったから。」



顔色ひとつ変えずに、至って冷静。


それは、あっけらかんとしているようにも見えて、気にしていない様子に思えた。


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