勝利の女神になりたいのッ!番外編
左近様は俺を信頼してくれている。
もちろん朱里もだ。
俺も同じ様に二人を心の底から信頼している。
だから俺なんだ。
紅葉は俺でなくてはいけない。
だが…
今回の紫衣の件はなんなんだ?!
本当に俺でなくてはいけないのか?
そうは思っても二人の勢いに押されて承諾してしまったのだ。
深いため息を吐き出して殿の部屋にむかった。
まずは殿の今日の行動を把握しなければいけない。
紫衣との接触を避けるために…。
「おはようございます。」
殿は庭に面した部屋の襖を開け放ち空を眺めている。
昨夜と同じように。
「今日は天気がいい。」
「はい。暖かくなりそうです。」
もしかして殿は床についていないのだろうか…
部屋を見ると床は乱れている。
床には入られたのだと安心する反面、やはり体を休めることが出来なかったのだろうと思うと心配になった。
「殿、今日は…」
「朝餉を一緒にと兄上にお誘いいただいた。挨拶をかねて兄上の屋敷に行ってくる。
同行はよい。
一人で行く。」
俺から殿の予定を聞いたのは今日が初めてだった。
だからなのか?
一人で行くとおっしゃるのは俺に気を使ってくれたのかもしれない。