勝利の女神になりたいのッ!番外編
「おかえりなさいませ。」
深夜にもかかわらず俺を出迎えてくれたのは左近と朱里だった。
「お疲れでございましょう、すぐにお部屋に...。」
有無を言わさぬ勢いで俺は左近に促されるまま自室へと足を運んだ。
本当は寝ていても紫衣の顔を見たいと思っていたのに..
それを口には出来なかった。
「それで、上杉との同盟はいかがなされました?」
「ふむ、上手くいった。秀吉様も大層喜んでおられた。」
「それはようございました。」
「ふむ。」
「では今日はお疲れをゆるりとおとり下さいませ。」
一度深く頭を下げて部屋から出て行こうとする左近。
余りに丁寧な左近の態度や言葉に俺は不信感を覚えた。
「待て、左近。
なぜそんなに畏まっているのだ?」
俺の言葉に左近は一瞬顔色を変えたが何事もなかったように言葉を返してきた。
「いいえ、久しぶりなので緊張していたのかもしれませんね。」
しおらしい左近の言葉に益々怪しさを感じたが追求することもなく左近を部屋に返した。
一人になると思い出すのは少女の笑顔。
左近は一言も紫衣の話しをしなかった。
それもおかしいが、なぜか胸騒ぎがする。
もしや紫衣の身になにか良くないことがおこっているのか?
疲れているのに眠りつくことが出来ない俺は襖を開けて空を見上げた。
新月の今日は闇がいつもより深い。
そのせいで星は普段よりも綺麗に輝いていた。
まるで金平糖を散りばめた様な夜空を見てやはり心の中で少女を想う。
早く逢いたいものだ。
紫衣.....。