モノクローム
ヒロはパンフレットを閉じるとあたしの顔をじっと見た。
「な…何言ってんの…?」
あたしは自分の膝に視線を落としたまま、黙り込んだ。
「別れるって…なんで?」
ヒロがまた質問する。
「……ごめん」
あたしはそう言うのが精一杯だった。
「ごめんじゃわかんねーよっ!」
ヒロが少し声を荒げた。
「…だから、別れたい」
「理由は?!」
あたしはまた口をつぐんだ。
「黙ってたらわかんねってば!」
ヒロの口調は段々きつくなっていく。
あたしは泣き出してしまった。
ヒロの口調がきつかったからじゃない。
どうしたらいいのか
何て言えばいいのか
わからなかった。
本当のことを言ったら
ヒロを傷つける。
でも、咄嗟の感情で発した言葉で
適当な理由が見つからなかった。
「ずりぃーよ、泣くなんて…」
ヒロは自分の膝におでこをつけ、頭を抱え込んだ。