龍と虎に愛されて。
「え……?」
「冗談。そんなに焦らないでよ」
杉崎君はクスッと笑いながらすぐにあたしの手を離した。
なんだ……ビックリした。
でも、あたしの知る杉崎君はこんな冗談を言える人じゃない。
天然の杉崎君に感じた違和感。
その違和感は、以前、龍心に感じた違和感にどこか似ていて。
まさか杉崎君まで素顔を隠してるとか……。
って、そんなはずないか。
「後ろの人に追いつかれちゃうし、そろそろいこ?」
「あ、うん!」
あたしは大きく頷き、再び歩きだした。