龍と虎に愛されて。

「……怖っ!!」


周りは真っ暗で、懐中電灯の明かりが届く範囲も限られている。 


一歩一歩転ばないように足元に視線を移し、慎重に歩いていると肩にドンッと何かがぶつかった。


「いたっ……何よ?」


思わず顔を上げた瞬間、息が止まりそうになって。

 

「う~らめしやぁ~」


口から血を垂らして、長い髪を揺らしながらあたしに顔を近付ける………。 


お化け………?



「キャァ――!!あっちいって!!!」


やだ!怖い!!


無我夢中で走りだそうとした瞬間、グイッと腕を引っ張られた。

< 196 / 478 >

この作品をシェア

pagetop