龍と虎に愛されて。
「……怖っ!!」
周りは真っ暗で、懐中電灯の明かりが届く範囲も限られている。
一歩一歩転ばないように足元に視線を移し、慎重に歩いていると肩にドンッと何かがぶつかった。
「いたっ……何よ?」
思わず顔を上げた瞬間、息が止まりそうになって。
「う~らめしやぁ~」
口から血を垂らして、長い髪を揺らしながらあたしに顔を近付ける………。
お化け………?
「キャァ――!!あっちいって!!!」
やだ!怖い!!
無我夢中で走りだそうとした瞬間、グイッと腕を引っ張られた。