折れない心

悪戯に絡まる運命

あたしはベッドに座り、携帯を開き握ったまま一時間が経っていた。




いまさら那抖になんて聞けばいいのよ。




あたしの言葉を聞いていたかのように、突然携帯の着信音が鳴った。




――那抖だ。




あたしは押そうとした親指を一旦戻し、深呼吸して心を落ち着かせた。




どんな話しであろうと。

覚悟しなくちゃ・・・・・・



「もしもし?」


《あ、もしもし、オレ、那抖》


「うん・・・・・・」




少し沈黙が流れた。




「どうしたの?」


《おまえ、まだあいつと付き合ってんのか?ほら、この間擦れ違った時の・・・・・・》



やっぱり気付いてたんだ。



「いや・・・」


《別れたのか?》


「うん・・・・・・」


《そっか・・・
 少し、話しがあるんだけどな》


「あたしも・・・
 会って聞きたいことがある」


《今から出て来れるか?》

「うん」


《じゃあ、近くの公園な》

「うん、わかった」




それからブランコに乗って那抖が来るのを待った。




――キーコ、キーコ・・・・・・



那抖の話しってなんだろう。




新しい彼女できましたぁとか?



はははー。

あたし、相変わらずのネガティブさだ。




なるべく期待はしない方がいい。




人の気持ちなんて変わりやすいものだ。




昔からあたしはよく知ってる。
< 240 / 299 >

この作品をシェア

pagetop