☆小悪魔*天然わんこが同居人☆
『なに、買ってきたの?』
…気まずい空気を無くそうと出た言葉がこれだった。
「…ぁ、えっとねー…甘いもの食べたかったから、お菓子買ってきた!!」
『あぁ、お菓子ね…』
「うんっ…美玲ちゃんの分もあるから、早く家の中入ろう?」
『…そだね』
莉夜らしくないぎこちない声で言ったかと思うと、ギュッとあたしの手を握って前を歩く。
いつもは嫌がって振り払うはずなんだけど。そんな空気じゃなかった。
「…あの人、だれ?」
マンションの中に入り、エレベーターの中で2人きりになると、莉夜がポソッと小声で言った。
…あぁ、また由宇みたいな顔になった。
悲しくて、今にも泣いてしまいそうな顔…