窓に影2

「とにかく、話、聞いて」

 歩が父を手伝いながらそう言うと、少し興奮していた母はソファに座りなおした。

 一体何を話すつもりなんだろう。

 歩はテーブルの脇に正座をした。

 わけのわからない私は、歩の後ろに立ち尽くす。

「お願いがあります」

 え?

 橋を架けるってお願い?

 そんな無茶な……。

「俺たち、なかなか会う時間が取れなくて……。だから、ちょっと遅い時間でも、お互いの家を行き来したいんだ」

 黙ってしまった桐原一家。

 テレビの音がやけに響く。

「寝る時間には帰るし、帰します。恵里が帰るときは必ず送ります。だから……」

「いいわよ」

 歩が言い終わる前に、母が軽く返事をした。

 私と歩は思わず、

「え?」

 と声を揃える。

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