キミ予報
3階まで上りきったところで、黒澤は角を右に曲がった。
俺はその角から黒澤を見張る。
黒澤が美術室に入ったところで、俺はポケットにあるラジオをカチリとつけた。
『……ザ……ザザ……
12月7日12時39分23秒。
黒澤遥さんのニュースをお知らせします。
美術室から花瓶を運んでいた途中、花瓶を破損させたもようです。
黒澤さんは男子生徒に助けられ、無事とのこと。
……ザザ……ザ……』
男子生徒って、俺かよ……。
ラジオのスイッチを切り、角から美術室のある廊下を覗いた。
黒澤の手には大きな花瓶が抱き抱えられている。
俺は平然とその場に立ち、携帯をいじることにした。
黒澤の足音が近づいてくる。
「あ、持田君」