ゼロクエスト ~第1部 旅立ち

エリスの作戦

自分でも不思議だった。

中位クラスであるリチャードと私たちとの力の差は歴然である。

確実に私たちのほうが負ける。

いや、弱音を吐いているわけではない。それが現実なのだ。

それが分かっていても、なお私には戦う余力が残っていた。

「我に従いし僕(しもべ)たちよ。汝、我の命を聞き給へ。汝、我の……」

唄が始まった。

エドは敵の攻撃を避けながらも、なんとか四隅の一角を確保している。

私は前方に立ちはだかると、攻撃からエドを守っていた。この場所ならば両脇には壁があるため、四方から敵に囲まれる心配はない。攻撃範囲も狭くなり、そのほうが援護し易かった。

と、その途中でスケルトン・キラーの動きに異変が起きた。

私たちの周りにいた数体のスケルトン・キラーが、仲間に攻撃を始めたのだ。

一瞬だが、こちらへの攻撃が止まった。私はその瞬間を狙っていた。

「アレックス!!」

目の前にいる背中に向かって叫んでいた。
< 147 / 211 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop