秘密な契約と掟破りな愛【最終章】
「あの日、たまたま遅くまで残業してたアイツが帰り際に貧血起こして倒れてな。家に送っただけだ」
「………………」
貧血…?そんなの絶対に芝居よ。わざわざここへライターを持って来て意味深な事を言うくらいですもの…仮病ぐらい簡単に使う人なんだわ。
「その時に落としたんだろうな。疚しい事なんざ、一ミリたりともない」
「…ええわかってるわ。でも、これからが…心配だわ……」
「何が心配だ?」
「貧血って、仮病に決まってるもの。そんなの、慎矢さんに近付く為のお芝居なんだわ」
こんな事言いたくないけど…でも…頭にきたの。昼間の事が頭から離れなくて…言わなきゃ爆発してしまいそうよ。