わたしはまた恋をする ~年下の彼~


どうしてここにいるんだ?亜矢。


俯いて固まっている彼女は、明らかに、

‘俺がここにいる事’に驚いていなかった。


俺がここにいる事を知っていた…?まさか、優太が言うわけがないのに。


俺の頭はその事が理解できずに、母さんが出てきて「やっぱりあなた達知り合いなの?」と問われても、すぐには反応できなかった。


彼女が麻美を訪ねてくるなんて、想定外だったんだ。


そんな行動力があったなんて思わなかった。


この事がなければ、多分俺たちは、会わないで過ごせたのかも知れない。




俺は彼女を送る事になって、一度も俺を見ようとしない亜矢に触る事さえためらった。


彼女が何を思っているのか…その態度からは想像出来なくて。


ただ、髪を拭いてあげる事にも心臓はうるさく動いていて、雨が降っていなければこの音は亜矢に聞こえていただろうと思った。

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