意地悪王子とお姫様
「お前見てるとぐちゃぐちゃにしてやりたくなる」
そう言って、唇を舌で舐めた。
「……ぐちゃぐちゃ?」
「意味わかんないって?」
咲貴君の問いかけにあたしは頷く。
「雨芽見てるとさー…」
あたしの髪にそっと触れた時。
―――ガチャッ
ドアが開く音がした。
「……あ、やべー」
咲貴君がそう言ってドアの方を見た時は、遅かった。
「こいつといたのか」
「……け、啓っ…」
啓が冷めた目をして立っていた。