甘い魔法―先生とあたしの恋―
……ばか。
先生の、ばか。
あたしの家庭の事なんか、気にしてる場合じゃないくせに。
自分だって、生い立ちの事で、教頭にイヤミ言われてるくせに。
あたしより……、ずっとずっと、つらいくせに―――……
大体、担任でもないのに家庭訪問なんてしたら、下手したらバレちゃうかもしれないのに。
あたしなんかのために……、
浮かんでくるのは、先生の笑顔ばかりで
先生の、優しい笑顔ばかりで
先生は、こんな時まで、あたしの胸を締め付ける意地悪をする。
先生のばか。
カッコつけないでよ……
……ばか。
あたしの知らないところで、先生があたしの心配をしてくれてた。
今さら告げられたその事実が、どうしょうもなく胸を苦しくさせて、目の奥に熱を持たせる。
俯けば落ちてしまいそうな涙に、あたしは無理して空を見上げた。
待ち構えていたような眩しい太陽に、思わず目を細めると、一筋の涙が頬を伝い落ちて……
お父さんの存在に、慌てて涙を拭く。
気付かれていないか、ちらっと視線をお父さんに移した時。
あたしと同じように空を見上げていたお父さんが、ゆっくりと言葉を口にした。