甘い魔法―先生とあたしの恋―


「矢野先生、実姫の副担任かなにかだろう?

2週間くらい前にうちに来たんだけど……、知らなかったのか?」

「うちに……?」

「ああ。もっと実姫と向き合った方がいいって……。

わざわざ三者面談に来るように言いに来てくれたんだよ。

あんな若い教師に説教されるなんて思わなかったけどな。

……おかげで、ずっと落ち込んでもやもやしていた気分が立て直されたよ」


穏やかな表情を少し俯かせながら言ったお父さんが、その後、思い出したように笑みを零す。


「まぁ、あの容姿だから、俺も最初はまさか教師だとは思わなかったけどな」


お父さんの言葉に、愛想笑いを浮かべながらも……

頭の中にはさっきの言葉しかなかった。





『わざわざ三者面談に来るように言いに来てくれたんだよ』


じゃあ……、

お父さんが急に三者面談に来る気になったのは……

心なしか、柔らかく接してくれるようになったのは……


先生のおかげだったの……?

先生がわざわざ、お父さんに会いに行ってくれたから……?




『子供が親を思うように、親だって子供の事思ってんだよ。きっと』



いつかの先生の言葉が蘇ってきて……

あたしは、唇を噛みしめた。





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