私、海が見たい
中村は、恵子の申し出に、心が躍った。
声が聞けただけでなく、会えるのだ。
それは中村が、どう切り出そうかと、
ずっと考えてきたことでもあった。
しかし、中村の声は、平静を保っていた。
「ああ、ええよ。じゃぁ、どこにする?」
「どこがいいかしら?」
「どこでもええよ。
俺はここの人間やから、
君の知ってる場所を言えや。
どこへでも行くから」
「そうねぇ……。
近くじゃあなたもマズいでしょう?
私なんかと会っている所を、
知ってる人に見られて、
あなたにキズがついてもいけないから」
中村は、恵子のその言い方に
少し違和感を覚えたが、
何のことかは、わからなかった。
「そんなことないわ」
「それじゃあ………、
浜の“ユース”という喫茶店に
しましょうか。
そうねぇ、時間は……」
「じゃ、2時くらいにしようか。
その頃なら、俺も出られるから」
「ええ、わかったわ。それじゃその時に」
「うん。それじゃ、その時」
「じゃあ………、おやすみ」
中村は、名残惜しそうに
「おやすみ」
恵子は、受話器を置いた。
中村は、もう電話が切れて
ツーという音がしているけれど、
しばらく受話器を耳にあてていた。
そして、静かに受話器を置いて、
片手で小さくガッツ・ポーズ
「よっし」
声が聞けただけでなく、会えるのだ。
それは中村が、どう切り出そうかと、
ずっと考えてきたことでもあった。
しかし、中村の声は、平静を保っていた。
「ああ、ええよ。じゃぁ、どこにする?」
「どこがいいかしら?」
「どこでもええよ。
俺はここの人間やから、
君の知ってる場所を言えや。
どこへでも行くから」
「そうねぇ……。
近くじゃあなたもマズいでしょう?
私なんかと会っている所を、
知ってる人に見られて、
あなたにキズがついてもいけないから」
中村は、恵子のその言い方に
少し違和感を覚えたが、
何のことかは、わからなかった。
「そんなことないわ」
「それじゃあ………、
浜の“ユース”という喫茶店に
しましょうか。
そうねぇ、時間は……」
「じゃ、2時くらいにしようか。
その頃なら、俺も出られるから」
「ええ、わかったわ。それじゃその時に」
「うん。それじゃ、その時」
「じゃあ………、おやすみ」
中村は、名残惜しそうに
「おやすみ」
恵子は、受話器を置いた。
中村は、もう電話が切れて
ツーという音がしているけれど、
しばらく受話器を耳にあてていた。
そして、静かに受話器を置いて、
片手で小さくガッツ・ポーズ
「よっし」