勇者は僧侶のなんなのさ
さっきまで頭があった場所をナイフによって薙ぎ払われた。


後ろから不意打ちとは卑怯な。


そのままの体勢から足を出す。


しかし、その足は何もとらえなかった。


「黒幕がいたとは知りませんでした」


「それなのにかわすとは、流石であります」


ナイフを振った人物、若い警備員は笑みを浮かべた。


「僕が来た時に襲撃するとは、タイミングが悪いですね」


立ち上がり、服の埃を掃いながら言った。


口ではそういうものの、実際は大ピンチである。


挟み撃ちにあってるうえ、シサとミュを守りながらの戦い。


出来るのであれば、逃げ道を探したい所である。


「目的は何ですか? 答えによっては、ここから帰すわけには行かないことになります」


「目的…………。そんなの、一つしか無いであります」


「ヒカル」


マスクの男が諌めるように言った。


「良いのであります、レンさん。我々の目的はミュの解放であります」


「…………やはりそうであります…………いや、そうなんですか」


「移った」


「う、うるさい!」


シサが嫌な所で横槍をいれてくる。


「ミュを解放する気はありません。それに、あなたたちは警備員を暴行したので尋問を受けてもらいます」
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