バイバイ〈短〉
「志織ー…!!」

僕は人のいないプラットホームで新幹線を待つ君を呼ぶ。

「章ちゃん…」

懐かしい君の声。

「ひ…さしぶり」

「せやね…」

「け…結婚するんやて?」

「うん…」

「幸せになれよ」

「ありがとう」

そう言って笑う志織は
ホンマに幸せそうやった。
僕やったらこんなに君を笑顔にできひんかったかもしれん…

『まだ志織が好きや』
喉まででかかった言葉を飲み込んで代わりに僕も精一杯の笑顔を作って、
「バイバイ」
君に手を振る。

「バイバイ」
新幹線の発車を告げるベルが鳴り、君は行ってしまった。
“絶対幸せにする"
付き合う時君にした約束…
果たせなくてごめんな。

やりきれないこの想いはどうすればいい?
僕の心はまだ君が、好きなまま…

END
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