溺愛コンプレックス
act.3 寂しい夜
「ねぇー今日ツバキどうしちゃったの?魂抜けてない?」


クラスの女子がアキナに尋ねる。


「カナメ君が家を出たらしいよ」


「うそっ!ついにシスコン卒業!?」


女子たちが嬉しそうに騒ぐ。


私は机に突っ伏してずっと黙っていた。


頭の中ではカナメのことばかりがグルグルしてる。


せつない顔、優しい笑顔、不機嫌な顔、私を好きと言ったときの顔、そして…私から視線をそらしたときの感情の見えない顔…


「あ~もう!!」


私はガタっと立ち上がって教室の出口に向かった。


アキナが呼び止める。


「ツバキどこに行くの?!」


「気分悪いから保健室!」


私はどすどすと足音をたてて歩いて行った。


「ありゃー『機嫌悪い』の間違いでしょ…」

アキナはため息混じりにつぶやいた。


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