Dragon Fang
肩を掴まれて、向き合わされた。
良壱の姿が目に入るのが嫌で、目を逸らす。
「…何だよ。」
「何もない。」
「言えや。」
こっちの台詞だった。
それでも、睨む事はしないで目を瞑って5秒数える。
そして、目を開ける。
「…痛いから離して。」
良壱はあたしの言った通り、手を離した。
「…悪い。」
あたしは何も言わず、おにぎりを渡す。
そして一人で売店を出て外で待った。
涙が不意に零れた。
…あたしはいつからこんなに弱くなったんだろうか?