自分探しの旅

第17話 「契約」

その時だった。

(ピン・・ポーン)

 ドアのチャイムの音がゆっくり鳴った。
 至福の時に包まれている京介は、それに気づくのに少し時間がかかった。

(ピンポーン)

 二度目のチャイムが鳴って、京介ははっと現実に引き戻された。

「・・・」

 京介は息を殺して次の行動を考えている。

(ピンポーン、ピンポーン)

 チャイムは鳴り止まない。居留守を使おうにも部屋の明かりはついている。アクション映画よろしく窓から飛び降りて逃げるか?

(ドンドンドン)

「伊地知さん、いるんでしょう?伊地知京介さん。」
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