自分探しの旅
第23話 「小笛」
四人は程なく阿蘇神社に着いた。つい昨日行われた華やかな祭りの面影はなく、ひっそりとしていた。参拝客もまばらだった。
門をくぐると藁葺きの社が見上げるように建っている。まるで古代神話の時代にタイムスリップしたような不思議なそれでいて厳かな雰囲気が漂っていた。
「ここは霊的なエネルギーがまだ残っているな。」
龍仁の敏感なアンテナはそれを確実にとらえていた。玉砂利をゆっくり歩いていく。京介はこれから起こるであろうことに自然、神妙な面もちにさせられた。
社務所では巫女姿の若い女性が、お札やお守りを売っていた。そこで神主に面会を求めた。何事かと現れた神主に小笛を見せてくれるように頼んだが、まさか前世からの因縁があるからとも言いにくい。昨日祭りで見た小笛を是非とも見たいと頼んでみた。
「・・・いいでしょう。」
歳の頃は四十過ぎだろうか。めがねをかけたいかにもまじめな人柄がうかがえるこの神主は、小笛と聞いてしばらく考え込んでるふうであった。しかしこちらの熱意が通じたのか見せてもらえることになった。四人は社の裏にある建物の一室に通された。八畳の畳敷きの部屋で待っているとやがて桐の箱を持って神主が入ってきた。神主が箱を畳の上に置くと、四人はそれを囲むように正座した。
「これは当家に代々伝わる小笛です。」
神主は箱に掛かった紐を大事そうにほどきながら話を続けた。
「伝え聞いた話によりますと室町時代のことですが一人の人物がひょっこりやって来てこの小笛を置いていったそうです。やがて取りに来るからあずかっておいてほしいと言い残して。」
門をくぐると藁葺きの社が見上げるように建っている。まるで古代神話の時代にタイムスリップしたような不思議なそれでいて厳かな雰囲気が漂っていた。
「ここは霊的なエネルギーがまだ残っているな。」
龍仁の敏感なアンテナはそれを確実にとらえていた。玉砂利をゆっくり歩いていく。京介はこれから起こるであろうことに自然、神妙な面もちにさせられた。
社務所では巫女姿の若い女性が、お札やお守りを売っていた。そこで神主に面会を求めた。何事かと現れた神主に小笛を見せてくれるように頼んだが、まさか前世からの因縁があるからとも言いにくい。昨日祭りで見た小笛を是非とも見たいと頼んでみた。
「・・・いいでしょう。」
歳の頃は四十過ぎだろうか。めがねをかけたいかにもまじめな人柄がうかがえるこの神主は、小笛と聞いてしばらく考え込んでるふうであった。しかしこちらの熱意が通じたのか見せてもらえることになった。四人は社の裏にある建物の一室に通された。八畳の畳敷きの部屋で待っているとやがて桐の箱を持って神主が入ってきた。神主が箱を畳の上に置くと、四人はそれを囲むように正座した。
「これは当家に代々伝わる小笛です。」
神主は箱に掛かった紐を大事そうにほどきながら話を続けた。
「伝え聞いた話によりますと室町時代のことですが一人の人物がひょっこりやって来てこの小笛を置いていったそうです。やがて取りに来るからあずかっておいてほしいと言い残して。」