自分探しの旅
「うん。その人物のことは俺も知っている。彼は当時の名を幽玄といった。幽玄は今の俺なんか足元にも及ばないような、とてつもない能力者だった。なにせ南北朝の争乱を、術を使って終わらせるくらいだからな。」
龍仁はそう言ってにやりと笑った。
「そうすると、その幽玄が僕のよこ糸のつなぎ目をほどいたということですか?」
「いや、それが・・・幽玄は今のこの世に生まれていない。彼はあまりにも大きい念を背負い込んで、この世に生まれることすらできなかった。しかも、前世の幽玄の力は、智海寺で対決した時、封じ込めている。」
『それじゃいったい誰がよこ糸をほどこうとしたり、吉村君をつけたりしたんだ・・・』
しばらく沈黙があった。そして龍仁が思い出したように言った。
「京介、昨日小笛の音色を聞いた時、何か思い浮かばなかったか?」
「ええ、それが・・・」
京介は昨日の晩見た幻想を思い出した。あの不思議な光景をつぶさに説明した。
「・・・そして最後に『まりあ』と自分を呼んでいる声が聞こえたところで終わったんです。」
「それは京介の来世だよ。」
「来世・・・」
京介は自分の来世のことをうすうすは感じていた。
『まさか来世の自分と通じるとは・・・』
考えてみれば円心にしても来世である京介と通じたわけで、今の京介が来世の自分と通じたとしても何ら不思議ではない。
「とにかく小笛のあるところへ行ってみよう。もっとはっきりしたことがわかると思う。」
龍仁はそう言うと立ち上がった。
龍仁はそう言ってにやりと笑った。
「そうすると、その幽玄が僕のよこ糸のつなぎ目をほどいたということですか?」
「いや、それが・・・幽玄は今のこの世に生まれていない。彼はあまりにも大きい念を背負い込んで、この世に生まれることすらできなかった。しかも、前世の幽玄の力は、智海寺で対決した時、封じ込めている。」
『それじゃいったい誰がよこ糸をほどこうとしたり、吉村君をつけたりしたんだ・・・』
しばらく沈黙があった。そして龍仁が思い出したように言った。
「京介、昨日小笛の音色を聞いた時、何か思い浮かばなかったか?」
「ええ、それが・・・」
京介は昨日の晩見た幻想を思い出した。あの不思議な光景をつぶさに説明した。
「・・・そして最後に『まりあ』と自分を呼んでいる声が聞こえたところで終わったんです。」
「それは京介の来世だよ。」
「来世・・・」
京介は自分の来世のことをうすうすは感じていた。
『まさか来世の自分と通じるとは・・・』
考えてみれば円心にしても来世である京介と通じたわけで、今の京介が来世の自分と通じたとしても何ら不思議ではない。
「とにかく小笛のあるところへ行ってみよう。もっとはっきりしたことがわかると思う。」
龍仁はそう言うと立ち上がった。