自分探しの旅

　「この人の仕業だよ。」

　人の顔が描かれている。明らかにお坊さんだ。字も書かれている。〈円心。大乗、大乗。大死一番。）
　京介には何を意味するのかわからなかった。呆気にとられている京介に、龍仁は笑いながら言った。

「これは京介の前世だよ。」
　龍仁はこともなげにそう言ってのけた。

「前世？！」

　京介は龍仁と出会ってたいていのことは驚かなくなっているが、前世とは・・・

「この服装からして住職クラスの人物だな。この『円心』というのはこの人の名前だ。『大乗、大乗。大死一番。』これは円心から京介に向けてのメッセージだと思う。」
『メッセージ・・・だって？仮に円心とやらが前世の自分だとしたら自分が自分にメッセージを送ったことになるじゃないか。』
　全くもってして不可解としか言いようがなかった。