自分探しの旅
京介は、ここまで来れば開き直るしかなかった。
 龍仁の催眠が始まった。龍仁は紐の先にコインのような物をつけて揺らし始めた。京介はそれをゆったりとした姿勢で見ている。やがて龍仁は、京介を催眠へと誘導していった。
 京介の頭の中には、やがて次々と過去のことが逆行していく。由香里と初めて出会った頃のこと、高校の文化祭、小学校の時住んでいた家、ほ乳びんのにおい、映画のダイジェスト版のように次々とフラッシュしては消えていく。
そして、いくつもの光の渦を越えた後、ついに円心の記憶が蘇ってきた
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