自分探しの旅
見るとそこは作業場のようである。猿や猪、雉などの木彫りが並べられている横には、生木が積まれていた。この地方では長い冬の間、細々と木彫りの民芸品を作っては里に売り歩き、生活の糧としていた。二人が芋汁のもてなしを受けた頃は、外はもうふぶき始めていた。
無雲は袋から笛を取り出して、奏で始めた。こういう手持ちぶさたな夜には、無雲は決まってその小さい笛を吹いたものである。無骨な無雲の形相からは想像もつかない、美しい音色だった。
円心は座禅を組み笛の音に無心で聞き入った。半眼の向こうに、明々と燃えるいろりの火が見るともなく見えている。
そして、やがて甘い香りとともに心地よい開放感に体中が包まれたかと思うと、目の前の炎が別の情景を映し出していた。
無雲は袋から笛を取り出して、奏で始めた。こういう手持ちぶさたな夜には、無雲は決まってその小さい笛を吹いたものである。無骨な無雲の形相からは想像もつかない、美しい音色だった。
円心は座禅を組み笛の音に無心で聞き入った。半眼の向こうに、明々と燃えるいろりの火が見るともなく見えている。
そして、やがて甘い香りとともに心地よい開放感に体中が包まれたかと思うと、目の前の炎が別の情景を映し出していた。