自分探しの旅

第2話「守護霊」

 次の朝。
 京介は、朝の通勤ラッシュの中にいた。いつもの満員電車に揺られながら、つり革につかまってぼんやり外を眺めている。寝不足と飲み過ぎで気分が悪い。おまけにぎゅうぎゅうに押し込められた車内の中、他人のはく二酸化炭素を吸わされているようで、立っていながらもチラチラと意識が飛びそうになる。頭の中は、濁流のように雑多な想念がよぎっていく。会社のこと。恋人のこと。そしてもちろん昨夜起こったこと。一つ一つはまるでつながりのない思考の断片が、次々と流れては過ぎていく。中にはこんな想いもある。

 漆黒の宇宙に浮かび上がるどこまでも青く大きい地球。目の前には巨大な映画のパノラマを見ているような開放感が広がっている。でもその開放感とは裏腹にはどこかもの哀しい気持ちが漂う。まるで十代の恋する乙女のような・・・
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